おはようヘミングウェイ

想う 観入る 書き表す そして存在が生まれてくる

読書クロスカントリー

ゴールデンウイークのある日、マラソンでもない、ハーフでもない、クロスカントリーほどの持久力で読書をした。

インターネット日和、時々読書の時間として田舎町の図書室を訪れる。書架を巡りながら背表紙を流し読みしていく。書名と私の意識が「あうん」になった瞬間に本を取りだす。

ここの図書室は1回当たり10冊が借り出しの上限となっている。締めて9冊を両手に持って担当者の元へ。スーパーと同じくバーコード対応で素早く処理してくれる。「あ、袋はいりません」と通じない冗句を放って室外へ。

眼が合った9冊の面々。
「生きることば あなたへ」(瀬戸内寂聴
「男(オス)女(メス)の怪」(養老孟司阿川佐和子
「編集長を出せ! 噂の真相クレーム対応の舞台裏」(岡留安則
「60億人が頭をひねる 超ヘンな疑問大事典」(雑学博士協会編)
「猫とたのしく暮らそう」(高崎計哉監修)
「私の猫のお医者さん 病気とケガ 応急ケアと予防」(小田哲之亮監修)
「医者がすすめる カラダ年齢を若くする100のコツ」(阿部博幸監修)
「図解 呼吸の真髄コツのコツ」(永田晟)
「イメージだけでらくな体をつくる本」(さかもとはるゆき)

猫の本はいくつか持っているが、飼い猫がことし生誕14年目となるため最新本で基礎知識をあらためて復習。ぱらぱらと気楽に読めるし、可愛い猫の写真が気分転換にもいい。

カラダ関係の本は、私という生命体へのいたわり。周囲に病人が増えだしカラダを自愛、養生する気になったのも一因。脳年齢を若くする、心肺機能を若くする 血管・血液を若くする、免疫力をアップする、歯を丈夫にする、性機能を若くする……。目次を眺めるだけでページをめくりたくなる。最終章の性機能を若くするから読み始める。「女性は40歳代になると女性ホルモンの減少で体に変化がおとずれる。更年期に入ると徐々に子宮は小さく軽くなる……」。いきなり女体の話だったが、ヒトのカラダはなんと機能的で合理的なのだろう。あらゆる意味でヒトのカラダは美しくできている。

瀬戸内寂聴法話が漫談みたいに面白いが、本書はどうか。わかれ、さびしさ、くるしみ、いのり、しあわせの5項目に分けて寂聴の言葉が並んでいる。人生に対する実にまっとうすぎるくらいの指摘、助言、思いがつづられている。美男におわす仏様に憧れる初々しい文学少女風でもある。

「60億人が頭をひねる―」は、いわゆるトレビア本。「民放各局はNHKに受信料を払っているか?」「『おねげえしますだ、お代官様』ってどこの方言?」「“3分クッキング”って本当に3分でできあがる?」「『七転び八起き』って起きるのも七回では?」「たった17文字で作る俳句、組み合わせが尽きないか?」などなど、きりが無いほど笑えるネタばかりだ。

岡留安則はスキャンダルジャーナリズム雑誌「噂の真相」の元編集発行人。黒字休刊した04年3月まで25年間の舞台裏を明かしている。検察、右翼を相手の立ち回りをはじめ、昨日の友が今日の敵になったり、あるいはその逆だったりと俎上の人々は多士済々だ。読み終えての感想は、本人の編集者人生こそがもっとも面白い。

養老孟司阿川佐和子の共著は対談本。わっはっは、アハハハと笑い声が交じったおしゃべりを聞いている感覚となる。えーと何を読んだんだっけと思うほどの軽い読後感だが、「ヒトがポルノグラフィーに興奮する理由」の章が海馬に留まった。章の扉にやり取りが抜書きしてある。
養老「だいたい、なんであんなものを見て興奮するんだ」(笑) 
阿川「自分じゃなくて、他人がやっているのに」(笑)

答えを養老孟司が解説している。相手のやっている動作に直接反応する神経細胞ミラーニューロン、※ミラーは鏡)が脳味噌の中にあるそうだ。言葉ではなくて、相手の行為がそのまま脳に直結して入っていく「直達」で興奮するという。脳の話は奥が深く、広く、神秘的で興味が尽きない。脳トレになる本だ。