始まりの前、世界はこのように色のない時間の中にあった。

参列者たちはパイプオルガン、ヴァイオリン、ハープの伴奏に合わせて讃美歌312番を歌いだした。
♪いつくしみ深き 友なるイエスは 罪とが憂いを とり去りたもう
こころの嘆きを 包まず述べて などかは下ろさぬ 負える重荷を
歌が終わると世界は瞬く間に色彩に染められた。

前列から並んだ木製の長椅子を左右に分けるヴァージンロードを新郎が1人歩み、祭壇の前で新婦を待ち受ける。
参列者たちもまた新郎と同じ思いを分かち合う。

輝ける純白の時間がしずしずと通り過ぎていく。

同い年の2人は20歳で知り合い、7年間の交際を経て、華燭の時を迎えた。

2人が出会って育んだ、若くて小さな福が、親戚、縁者、知人、友人らの集いをもたらした。
父が寄り添う新婦は1歩1歩、新郎に近づき、手を伸ばせば触れ合える所で立ち止まる。
父はヴェールに包まれた愛娘をそっと送り出す。

既婚者は自らのあの時を思い、未婚者は自らのその時を想う。
祝福される時を持つというだけで2人は幸せの1歩を踏み出した。
新しい人生が、今、ここから始まる。

2人が結ばれたという福を、参列者たちがおすそ分けしてもらう時間になった。

卓上のナプキンも、グラスも、出番を待つ料理も、すべてが幸と福の盛り上げ役となる。

赤、白、ピンクの生花が参列者を和ませ、祝福そのものを形作る。

結婚という門出に立ち会える幸せをもたらしてくれて、ありがとう。
